■■■■■メールマガジン;六車技術士事務所■■■■■  2014.12.15

■忘年会での特許の話

●ある会合の忘年会で、特許は平均的な技術者が再現できるように
 書かないと発明が未完成と思われて拒絶になる恐れがある、例の
 STAP細胞の特許は開示されているんだろうかという話を出し
 ました。
 そうしたら、海千山千の特許エンジニアから笑われてしまいました。
 その人もハッキリとは言わないのですが、断片的な話を繋げると、
 完成しているように上手に書くのが特許技術者の腕であろう、とい
 うようなことを言いたかったらしいです。
 
 一般的にはそうかもしれません。で、あの一件ではどうなのか、と
 いうことで盛り上がってしまいました。
 
●昔、研究員だった博士を持っている人と話していましたら、発展途
 上国で治療薬が特許のために安くできなくて困っている、特許制度
 はけしからん、というようなことを言いだしまして、おやおやと思
 いました。
 そこで、新技術が特許制度で守られるから資金を出して開発し、ま
 た特許出願して情報を公開して後発メーカの勉強材料になるのだと
 説明してやりましたが、いま1つ腑に落ちない顔をしていました。
 特許で守られなくても、会社は利益を上げるために良いものを開発
 するよ、と言うのです。

 私と同年代の人ですから、特許についてかなり教育されている人達
 なのにまだこのような理解の人がいたんだと、驚きました。
 近くにいた別の元研究員・博士もそうでしたが、ノーベルが海軍技
 官と特許裁判をやって勝ったので莫大な利益が集まり、その費用が
 ノーベル賞の基礎になっているということを知りませんでした。

 特許テクニックだけでなく、基本精神などについても啓蒙活動が必
 要なのだなと思い知らされました。


 
■昔々、その21・・・    前←  ⇒次

 トラブルは多かったものの面白かったカメルーンを去る時がやってきました。ヒヤヒヤして待ったクリーニングに出した冬もののスーツが、前の晩になってようやく届いたのでバッグに詰めて出発完了。こちらは真夏ですが、このスーツが無いと羽田は3月初めの厳寒ですから風邪ひいてしまいます。

 出国手続きでは次の訪問地を書くことが必要です。ところが、カメルーンは黒人国家です。当時の雰囲気としては、次の訪問地が南アフリカ(以下、南アと書きます)と分かると、カメルーンから出国させてもらえないなどのトラブルが起きそうだという情報がありました。


※空港職員が付いてくるので、一緒に写真撮ろうというと、案外簡単にポーズ。

 カメルーンもそうでしたが、南アに入国するにはビザ(査証、入国許可証)が必要でした。ビザはパスポートのどこかに書いてスタンプを押してあります。カメルーンは東京にある大使館に行って取りました。

 南アはアパルトヘイト問題で世界の多くの国が政治的な国交がなかったので、東京にも大使館はなく、大使館業務を代行している英国大使館に行ってビザをもらいました。ところがその南アのビザはパスポートに書いてスタンプではなく、別の紙に書いたものをもらっていました。南アに入るときに、それを私のパスポートにホチキスで留めて出す予定でした。

 カメルーンから南アには当然、直行便はありません。そこで、出国するときは、同じ黒人の政府であるケニヤに行くと申告することにしていました。ケニヤは旧英国領ですので、南ア行きの飛行機もあり、そこからあらためて南アに行く手続きをする予定でした。出発前に日本で打ち合わせたやり方は、航空荷物もケニヤの空港で取り出し、そこで新規に南ア行きの搭乗手続きをするものでした。

 空港カウンタでは、予定通りケニア止まりだ、そこで荷物を出すと言ったのです。ところが、航空券を見るとケニアから南アに向かう飛行機も書かれていますので、私の指示がうまく伝わっていなかったのです。後で大変な事に・・・・

 さてカメルーンの出国手続きの窓口です。係官が、ケニヤのどこに泊るのか書けと言ってきます。ケニアでは泊らない、次の国に行くと言うと、何処に行くのかと聞いてきます。困った・・・

 南アと言いうと出国させてくれないことがあると聞いているし、どうしたら良いのか迷いました。あまりモタモタしていると別の疑念を持たれ、なおマズイことになりかねません。

 万事休す、いや万事窮すかな、急ぐから、万事急す、かも・・・(正解は、万事休す。万事窮す、は間違い。)
 あきらめて正直に言うことに決心しました。
「拙者はじつは、南アに行きそこで泊る予定である」と言うと、「南アのビザはパスポートに無いぞ、どこにある」ときました。あー、万事休す。ビザを取り上げられて拘留でもされたら大変なことになる・・・

 「南アのビザを見せると取り上げるのではないか」と恐る恐る言うと、とにかく早く見せろと言っています。あきらめて見せ、南アの宿泊先のホテルを示すと、何も言わず事務的にポンポンと印を押して、おしまいでした。恐れていたほどのことは何もありませんでした。

 情報が少ないと、どこかの誰かが一回くらい足止めをくらったことが、いつも発生する大問題のように伝えられてしまうもののようです。
いま考えると、風評被害のようなものだと思います。

 飛行機は夕方出発し、アフリカ大陸のほぼ赤道直下を西から東へ飛んでいきました。日本に少し近くなるな〜と、思ったりしました。
明け方になって高い山が見えました。長い黒い山頂部が雲の上に横たわっていました。「あれはキリマンジャロじゃろか」と思ったことでした。

 寒い位の飛行機を出て、暑いケニアのナイロビ空港に着きました。ここで一騒動が起きるのです。
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