初期の実験

No.1 1975年12月〜1977年3月


コンピュータを使った最初の実験(1975年12月〜1977年3月まで)

 私が最初にコンピュータを使って行なった実験である。中央コンピュータで計算により0または1の(疑似)乱数を発生させてターゲットとし、被験者は約200m離れた所にある電話線で接続された端末タイプライタからターゲットを当てることを期待して0または1をキー入力した。この乱数は、種となる数値を与えておいてコンピュータが計算により作成するものであり、種数値が同じならば同じ数列になる。そのため種となる数値は日付や時刻などを組み合わせて作成しており、実験により同じ数値になる可能性はない。
なお「当てることを期待して」実験したものだが、瞑想するなど特別の方法は行なっておらず、気の向くままに0か1のキーを自由に押したものである。
※さらに言えば、「自由に押した」と書いたが、超心理の実験をしていないのであれば「デタラメに押した」と言うこともできる。

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実験No.1A 1975年12月〜1977年3月までの100回
実験の概要 騒音の大きな端末タイプライタを使った。キーを押すごとに機械が動いて文字を選択して紙面を打つのだが、その印字音が非常に大きい。そのために事務室から離れた狭い部屋に入れてあるのだが、狭い部屋のせいでなお大きい音であった。実験では約1秒ごとに100回ほど打つのだが、騒音は頭にガンガンと響くほどでありストレスは大きかった。(実際には、50回続け、それを2回繰り返した。)
さらに、端末は別の業務に使っていたものを隠れて使っていたので、見つからないようにしたり、見つかったときは簡単な説明をするなど、そのプレッシャーも大きかった。

実験の実施 0か1のターゲットを疑似乱数で100個作成しておき、それを(推測で)約1秒くらいごとに1つずつ入力した(これを1試行という)。100試行終わると100個のターゲットと推測入力したものを打ち出して、当たりの所に*を表示したものを打ち出した。(実験の後だったが、連続して打ち出すのでその音がさらに大きかった。)
この実験を、1年4ヶ月の間に、100回(以後、100ランという)行なった。100ランの合計では10,000試行を行なった。

実験の結果 10,000試行なので一致数の期待値は5000であるが、実験の一致数は4858であり、142回少なかった。つまり外れの大きな結果になった。この外れの大きさが意味あるものかどうか検討するには、統計確率で用いる2項分布の計算で評価する。その結果、臨界比CR=-2.84となり、危険率1%(CR=±2.6)を超えており有意である。これは、一致数の少ないことが偶然である恐れは1%も無い、別の言い方では、一致数の少ないことに何か原因があると見ても間違いである可能性は1%以下である、つまり、一致数の少なかったのに何か理由があるのはほぼ間違いない、ことを示している。

解説・・・統計確率において「有意」と判断するレベルはいくつかある。簡単なものでは危険率5%があり、これは20回に1回は間違いがありうることを示す。しかし、超心理学では通常ありえない現象を取り扱うので、危険率1%、つまり100回に1回しか間違いがないという厳しい方を採用している。なお逆の見方をすれば、危険率1%というのは100回に1度くらいは偶然に起きうる現象と言える。

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実験No.1B 1977年3月〜1978年8月までの39回
実験の概要 実験Aで使った音の大きい端末は撤去されたので、事務室内に設けられた音の静かな端末タイプライタを使って、Aと同様の実験を行なった。なお、音が静かなのでストレスはなく、何をしているか他人が見に来ることは少なくプレッシャーは少なかった。
39回で終わりにしたのは、発表に間に合わせるため、終わりにしたものである。

実験の実施 音の静かな端末を使った以外はAと同様のやり方で、39ランで3900試行を行なった。

実験の結果 3900試行なので一致数の期待値は1950であるが、実験の一致数は1938であり、12回少なかった。これはCR=-0.38であり有意ではなかった。

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実験No.1AとBの考察
(1)じつはこの2つの実験は最初の計画では一連のものと考えていたので、合計で見るべきともいえる。合計の139ランとして考えると、CR=-2.61となり、やはり危険率1%で有意に外れている。

(2)No.1Bに比べて、No1Aの実験は端末の印字音が大きくてストレスの大きかったことが、外れが多くなっている原因と考えられる。
解説・・・一致よりも外れが多くなるのは、被験者の特有の傾向とか、この実験のように騒音などストレスの大きな状態でも外れが多くなることが指摘されている。今回のAとBの実験条件の違いは、期せずしてこれらの知見と同じ結果となっている。

※No.1Bは回数が少ないのでCRが低いのではない可能性が高い。もしこのまま100回まで実験を増やしても減少数は30程度にしかならない可能性が大きい。

(3)ラン内の位置による効果・・・139ランの合計において下図のように、100試行を4分割してみると、そのいずれにおいても外れが多いが、特に第3区分、つまり51〜75試行でCR=-3.14と大きく外れている。なぜこのような現象が起きるのか非常に不思議である。CR=-3.14というのは1000回に1回もないような珍しい現象であり、何かの理由があると考えるべきである。

解説・・・じつは位置効果とか減衰効果と言われるこの現象はこれまでの多くの実験で指摘されているものであり、それが今回の実験でも観察されたものである。
 なおこの曲線は、クレペリン検査の典型的な作業曲線と似ている。つまり最初のうちは関心が高くて作業ポイントが高いが、徐々に単調な作業に飽きてきて落ちてきて3/4の付近で最低になり、最後になると、まもなく終わりと意識することで作業ポイントが上がる、というものである。しかし今回のこの実験は、ターゲットを隠しておいて推測で当てるものであり、デタラメであると考えるならばこのような作業曲線が生じることはないはずである。したがって、この作業曲線が有意に現れたということは、超心理学的な現象の存在を示す有力な証拠になる。

(4)連続実験の効果・・・・139ランの合計において、実験を行う場合に連続して複数回行なっている場合がある。下図に示すように、1回で終わりにしたのは43回あり、2回続けて行なったことが29回、3回行なったことが22回ある。この結果、2回、3回と連続回数が増えると一致数が大きく減少しているのが分かる。特に3回続けた場合はCR=-3.20と大きく有意に外れている。これも位置効果といえが、なぜこのような現象が起きるのか誠に不思議である。
 クレペリン検査のように、単調な作業に飽きたことによる作業効率の低下と考えることができる。しかしそれは、超心理学的な現象を認めた場合に言えることである。


※4回以上になると概ね期待値通りである。これは何か意味があるのか、ラン数(実験数)が少ないためなのか分からない。



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