インターネット + 特許情報ビッグバン

     '98 KMKデジテックス, DIALOGアップデートセミナーにて発表           (kmk98)

 インターネット時代に加えて,特許情報ビッグバンが起き,通信,データとも非常に安価な時代がやって来つつある。エンドユーザが直接DB検索を行う時代になっていく。今後,サーチ専門家は何をよりどころに,仕事をしていけばいいか。


1.特許情報ビッグバン
(1)QPAT・・・抄録無料,約20k\/月で明細書検索
  MicroPatent・・・4.9$/件で明細書コピー
  PatentExplorer・・・5k\/年+明細書検索無料,3.5$/件で明細書コピー
(2)H10.( )月 最新1カ月分の特許公をインターネットで提供(無料),
       検索は書誌,要約,クレーム
   ( )月 H5年以降のフロント頁 〃
       CD-ROM公報(20k\→5,330円, 実質,著作権フリー)
      格安データ →激安データ
(3)タダほど恐いものはない。悪貨は良貨を駆逐する。
  悪DBは良DBを駆逐する(?)
 ・サーチャ不要と誤解される・・・困ったとき,助ける人がいなくなる。
 ・社内DBを作れない・・・便利な体制が作れない。
(4)無料DBも,どこかで,誰かが支払っている。
 または,不安定,不明瞭,不正確,探すのに時間がかかる,受け取りに時間がかかる・・・
  論文;今日の商用DBの価値(Dialog/crossroads)
   
(5)通信手段 ・・・インターネット化
  データ内容・・・競争力・付加価値のあるものが開発され,提供される可能性。

2.新しい環境と情報サービスのあり方
インターネットと特許情報ビッグバン時代の情報サービスのあり方はいかにあるべきか?

(1)手段や資料独占の時代は終わった
 手段や資料の独占にあぐらをかくサーチャの将来はない。
 検索システムの提供ではダメ →エンドユーザにすぐ役立つサービスの提供が必要

  

(2)付加価値のある情報の提供
a.検索;エンドユーザ以上に,漏れ,ノイズの少ない検索
b.出力;うまい報告書/リスト・・・図面がすぐみれる,明細書がすぐ見れる。
  ※工夫すれば何とか出来るは,出来ないことと(ほぼ)同じ ←インターネットの欠点
 簡単に,速く入手できるかどうかが決め手 ・・・対応できるシステム,サーチャの存在価値は減らない
c.分析;統計分析,内容分析
  引用データの利用;Citing Patent List,Cited Patent List
  米国特許の審査引用データの利用 (例;「特許のはかり方」,ゼファー(株),ymatsuya@nisiq.net)

d.エンドユーザを頼らせるサービス
 ・SDI;欲しいモノがいつでもそこにある・・・ボタンを押せば欲しいものが出てくる。
 ・SDIの式作成を行う(手伝う)
 ・検索式作成の相談
 ・負担を少なくする

(3)専門サーチャがエンドユーザと違う点を強化する
 サーチャの役割
 ・経験;インタビュー能力,式作成能力,
 ・仲間と意見交換
 ・他の手段とのクロスサーチ
 ・検索式は,式の作りが命

3.実務的な幾つかの提案

(1)上手な検索のために
 ニーズの適切な把握;上手なインタビュー →検索チェックリスト
構造化検索式で高品質の検索式作成
 

(2)DIALOGの利用・・・パソコン通信的な利用よりWeb利用が便利か。
・接続時間単価は同じだが,接続時間のカウントが検索式送信して回答を得るまで。
・抄録と図面がリアルタイムで入手できる。

(3)インターネットDB利用の注意事項
・タダのものは注意が必要・・・信頼性を確認しながら使う
・別の仕事をしながら使う・・・時間の節約

4.今後の問題

(1)概念検索は,サーチャ不要につながるか?
 「検索」の一般化と専門化
 情報化社会・・・知価社会

(2)希望しなければ実現されない ・・・サーチャのあるべき姿,自分の役割を考えよう
 行動したところに道が出来る,線路ができれば町ができ歴史できる。
 賢いユーザが,使いやすいDB・サービスを育てる。


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