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■なんのために特許出願するのか?

中小企業の特許事情の話を聞いたことがありますか?

先日、九州の某市を訪問し、中小企業のオーナの話を聞きました。
わずか数人で起業し、十数年で15名前後になり、特殊な機械部品を開発、製造し、多くの製造メーカへ供給しているとのこと。

技術的な事項を聞いてみると、似た製品は以前からあったのですが顧客の意見をよく聞き要望に合わせて製作し納入することで重宝がられているようでした。

社長は実にパワフルで魅力的な方でした。最近は営業活動に力をいれており東奔西走(昨日は南、今日は北?)というような活況らしいです。
営業が半分、他は製造中心の人が多く、開発を期待できるのは2,3人のようでした。

★他人に真似されないように特許も数件出願している、米国特許も取っているとのことでした。さすが〜、と感心して帰りました。

★帰着後、その会社の特許を調べてみますと1件もありません。社長名で検索してみると、出ていました。

■公開特許が10件くらいあります。起業した年に1件、その後もおおよそ毎年1件前後の出願があります。ところがよく見ると、その全てが審査請求してないのです。未請求取り下げ処分になっています。

■アメリカ特許を探してみると1件ありました。審査を通って登録年金を納入してあります。
 ところが4年目からの第一回の維持年金は払ってなく、権利は消滅しています。

★ということは・・・、同社の技術は、特許では全く何も守られていないということになります!!

これはいけません。

商売がうまくいっており、製品が独自性の高いものであれば、当然その知的財産を守っておかないといけません。

★そこで、その社長に紹介してやったのは実用新案の利用でした。

■最初その社長は、実用新案は知ってるがこんな工業製品は対象外でしょうとか、特許より権利が弱いのでしょうとか、期間が短いそうじゃないですかなど、いろいろご存じでした。

■実用新案の特徴として私は次のようなことを話しました。
・無審査で4ヵ月後に登録。間違いなく登録になる。・・・・・早い
・無審査なので審査拒絶対策などの煩わしい仕事はゼロ。・・・簡単
・出願・登録・維持年金費用は特許よりも大幅に安い。・・・・安い
・10年間は他社を牽制する効果が期待できる・・・権利は不安定とはいえ、一定の牽制効果はある。いちゃもん付けられそうな危ない商売には誰も手を出したくない。

■特許出願しても審査請求しないで放置しておくのでは何の権利もないことを説明してさしあげると、今度は、
 「特許出願してあるだけで、顧客へのPRになるんですよ」と別のことを言いだされました。

■そういうこともある程度はあるでしょうが、類似品を作ろうとする人の牽制も大切です。
 そこで、PRのための特許出願(審査請求せず)と、製品の本当の防衛、牽制対策として実用新案の出願を1:2くらいでやることをお勧めしました。

★特許出願はPR目的というよりも、社長の自己満足の感じがしました。特許に人手もカネも掛けられないこのような小さな会社の場合は、実用新案だけで十分メリットがある、と今でも考えています。

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