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■米国と中国への出願比率

 外国への特許出願は、米国と欧州で良いのでしょうか?

 30年くらい前、日本特許への出願だけではダメで、世界への出願
とりわけ、米国への出願が大切だといわれた時期がありました。そ
の後、日立製作所が米国への特許出願を増やし、米国IBMの急増
の後、キヤノンが急増し、その後多くの出願人がUSP(米国特許)
を増やしました。

 その後、アジア諸国への出願が大事だという動きがあり、韓国や
中国への出願が増えました。

 では現在どうなっているのでしょうか?
比較にあたって、企業同士の出願(公開、または登録)件数では、
規模の大小や分社化や合併もあり不都合が多いので、日本公開特許
を分母として、USPと中国特許を比較してみました。これをUS
P比、中国特許比ということにします。

比較企業;ソニー、パナソニック、日立、東芝、トヨタ、キヤノン
比較年;2000年〜2009年
 詳細は下記URLにあります。
 http://www.patentcity.jp/mpfanj/pwriyo132/pwriyo132.html

主な結論だけ書きますと、下記のようなことが言えます。

・ソニーは、米国、中国とも、件数が増えていますが、日本特許を
 減らしているので、USP比、中国特許比とも劇的に増加してい
 る。
・ソニー、パナソニックとも2005年頃から中国特許比がUSP比を
 追い越している。
・日立、東芝も中国特許比は高まっているが、まだUSP比が高い。
・トヨタは2003年頃から現在にかけて日本特許が3倍に増加してパ
 ナソニックに迫る件数であり、日立やソニーの約2倍の件数にな
 っている。USPはほとんど増加せず、中国特許は数十倍に増加
 している。したがってUSP比に対し中国特許比は2倍以上にな
 っている。

中国は13億人をベースとして、市場国としても製造国としても知
的財産権問題で中心となっていくのでしょうか。
そして、201X年、中国特許の出願件数は日本より多くなり、その2
年後、公開公報も中国が多くなる、のでしょう。


■概念検索は無効材料調査に無理でしょうか?

 概念検索への理解が少しずつ深まっているようです。先日も、検索
式で1000件を目視チェックして大変だった調査が、概念検索によって
一発で見つけられた、概念検索は役に立つという、記事がありました。

 しかし、別の記事には下記のようなものもあります。

>概念検索は精度に問題があるので、無効材料調査や侵害防止調査など
>の調査では、検索式による検索を当分の間使っていくだろう・・・

確かにこのように考える人がまだ多いと思います。これに対して私は
ちょっと違う意見です。

概念検索が無効資料調査に不適切というのは、概念検索が「ピンポイン
ト的な検索に最適」であるということに気付いていないからと思われま
す。そのうちに下のように変っていくと思います。

>侵害防止調査や無効材料調査などの調査では、
>そのピンポイント検索の特長を生かしてまず概念検索で調査をおこない、
>その再確認やさらなる精度向上のために検索式を利用して時間をかけた
>調査を行うやり方が一般的である

もちろん、検索式実施後に、確認のために再度概念検索を行なうことも
有益です。概念検索は数十分もあれば結構良い調査ができますので。

とはいえ、概念検索も鉄腕アトム(自然文完全解読システム?)が調査
を手伝ってくれるまでのつなぎですが。といってもそうなるのは来世紀
でしょう。

■過去索引 http://www.patentcity.jp/merumaga/index.htm

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 発行元 六車技術士事務所
 http://www.patentcity.jp/muguruma/index.htm
 http://www.patentcity.jp/patentcity/index.html
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