■■■■■メールマガジン;六車技術士事務所■■■■■

 情報には絶対的な価値はない,使い方によってゼロから無限の価値まで
変化するものだと,むかし,先輩が教えてくれました。

 「明日は雨だ」と聞いても,部屋の中に閉じこもっている人には何も価
値もないでしょう。しかし,明日はデートだという若者には価値のあるも
のでしょうし,野球場の弁当屋さんには死活問題の情報でしょう。

■特許情報も同じです。他社からの侵害警告にしか使わない人にとっては
,日常的には使わない,価値の少ない情報です。
出願前の調査とか,開発前の先行技術調査などに使えば,だいぶ価値のあ
る情報として使えます。
 さらに,相談相手としてデータベースを利用する手法を身に付ければ
生きた技術の宝庫として役立つものと思われます。

■先行特許調査をしたら似た特許が出てきた,じゃ出願を止めようという
ような状況では,特許情報の上手な利用法とはいえません。
自社が製品化するような技術であれば,少々似た特許があっても,それを
乗り越えて出願することが大切です。

    ※モノを作る会社においては,特許問題は,出願しないこと
     には始まりません。

■そのような活動は,発明活動の産婆役ともいえますし,発明者と弁理士の
間に立って活動する「特許リエイゾン活動」とも言われます。
 特許情報関係者は,検索依頼に対応するだけでなく,そのような役割も
持っていると思われます。(むかしは多いにそのような議論がありました)

■例えば,有名になった中村修二氏の発明になる青色発光ダイオードに関
する特許(第2628404号)の請求範囲は,半導体基盤の横から反応性ガス
を供給し,上部から不活性ガスを吹き付けるというものです。

 面白いのは,5年も前に,半導体基盤の平行方法と垂直方向の両方から
反応性ガスを供給する方法が文献で公開されているのです。

 特許出願したいと思ったときに,この先行・公知文献を見せられて
「似たものがあるから少し考えてはどうか」
と言われたら,多くの人は駄目だなと思ってしまうのではないでしょうか。

■発明者と一緒になって,どこかに新しい価値のある部分がないかと検討
することが大切なことです。または,経験豊富な弁理士に協力してもらう
のも良い方法です。

 中村さんを報道でみていると,ご自身が非常にアグレッシブな方のよう
ですから,公知情報との違いを自ら検討されたかもしれません。

しかし,多くの発明者はそうではないように思われます。特許活動がそれ
ほど活発でない会社においては特に,発明の産婆役,特許リエイゾン活動
が大切と思われます。

■過去の索引 http://www.patentcity.jp/merumaga/index.htm
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発行元 六車技術士事務所
配信申し込みや配信中止 http://www.mag2.com/m/0000181771.html
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