1999 特許・情報フェア コンファレンス
      
特許情報の利用とその近未来像   H11.11/11,11:00〜
        
特許情報ナレッジマネージメントのすすめ     

講演の目的;特許情報の活用企画のために,現状把握・進展方向の確認・将来の想像をしてみたい。

1.Dog Yearで変化する特許情報環境

●H10.4  CD-ROM公報5k\/枚(←20k\/枚)
      ■H10.春 Patent Explorer;全文検索,イメージ出力(一括出力,鮮明)
      ■H10春,秋 DIALOGの価格変動(CPU化),WPIの出力値上げ
●H10.秋 PATOLISのWeb対応,分散システムの高機能化
      ■H10.秋 USPTO,Espacenet;全文検索データベース …無料
      ■H10.秋 WIPO/PCT紙抄録停止→Web化
     (■H10.末〜H11.春 社内;USPシステム開発)
●H11.3 IPDL;明治以来・公報イメージ出力 …無料(1頁ごと)
    H5以降の全文検索(対象;抄録文,近傍検索なし),H10.4月以降の審査経過
(●H11.4月 社内;登録公報SDIのネットワーク化) (公開公報はH8〜H9に実施済み)
●H11春 ニッパツ;NEF-LAN 明細書(鮮明)15円/頁,(H5以降は30円/件),複数件一括受取り
      ■H11.3 USPTO,Espacenet;USP全文イメージ出力 …無料(1頁ごと,近傍検索なし)
      ■H11.6 Miocro Patent/Patent Web全文検索/抄録・代表図面一括出力,イメージ一括出力
●H11.10/4 JAPIO分散システム;S61〜H5公告公報の全文検索


・安くなったパソコン,メモリ,増加するハードディスク容量
・社内データベース構築コストの低価格化,高機能化
・通信料金の低価格化,便利で安価なISDN
・Webツールの無料化,低価格化
・エンドユーザによる特許情報データベースの利用
・エンドユーザも同じシステムを使える時代


2.変化はチャンス

・光の速さで変化するデータベース事情
・ある日突然大きな変更 …事前連絡なく,案内よりも,変更・結果が早い。
・計画の立てようがない …社内に特許情報部門は不要か?
・ITというあばれ馬の疾走 …手綱を取ってうまく誘導

★工夫すれば何でもできる時代!!
 工夫しないと使えない →忙しい人は使えない ←忙しい人が本当のユーザ

★工夫しないでも使えるものが真に使えるもの。
「できること」と,効率的,継続的,実務的にやれることとは違う。

★人件費は高い
 データベース利用の全費用 = DB費用    + 利用人件費 + 発注処理人件費
              (ネットワーク費用)(習得人件費) (受注処理人件費)
★手段独占・資料独占に未来はない。(特許情報の管理部門,専門調査部門)
 活用ノウハウで勝負。
 教えて使わせて,難しさを分かってもらう。 →信頼を勝ち取り,次の仕事の受注へ。
 研究開発者は多忙 …知っていても,継続して利用することは困難。
★依頼者は頼みたい内容を知っているか? …ユーザのニーズを引き出す,まとめる技術の大切さ。
 目的に応じた適度な再現率,適合率

★改良でなく革命が必要な時代 …石橋をたたくと(恐くて)渡れない,鋼鉄製の橋をかけよう。
 従来型データベースの低迷と,新興データベースの躍進。

★技術的に可能なことは誰かがやる …早くやった方が勝ち
 同じ事を後で始めても使ってもらえない …同じ程度のサービスなら慣れたものがよい。
 システム選定はこれまでの付き合いより,現状(と今後の可能性)で選択すべき。
 システムの選定は研究開発の成果を左右する重要業務!!
 画期的に良いものなら,利用システムを毎年変えてもよい。

★データベース開発者は,使い方を知らない …エンドユーザと提供側の仲介者が必要。
★ユーザの意見を聞け,ただし聞き分けが必要。(開発者,またはユーザ取りまとめ役)
 ユーザは自分の知っている範囲で要求を出す,他の方法のあることを知らない。

★データベースはユーザが作るもの …お城は城主がつくるもの
 使い難いシステムはユーザ(またはユーザ取りまとめ)の意見の弱かったもの。

★足に靴を合わせろ。しかし,翼を固定しないと飛行機は飛べない。


3.「特許情報ナレッジマネージメント」の推進

★知識は創造的活動に使う …データベースを自分の知識(ナレッジ,knowledge)として使う。
 ナレッジマネージメント …頭の内部メモリと外部メモリの組合せ
 ナレッジマネージメントは特定の手法やツールの使いこなしではない。

★単なるデータベースの提供を越えて,エンドユーザにおいて,欲しい情報を,簡単,迅速,安価,
 低ノイズ,高再現率に入手でき,評価を共有できる総合的な情報環境の整備。

★トップの理解がないと言う前に,やろう,自分でできるナレッジマネージメント。
★データベースは,あって当たり前の時代,ユーザは便利さに金を払ってくれる。
★使えるインターネットデータベースの整備 例; http://www.jsdi.or.jp/~mug/

★ワンタッチ削減運動 …ひとつでも操作の少ないシステムの開発。
★SDI …必要なとき検索するのでは利用は進まない。
 押せば出るサービス;電子SDI
★すぐパッと使えるシステム →SGPAT
★SGPAT …SDI受取り3クリック,SDI検索式数,SDI送付先数,次文書0.3秒表示,出力件数
 出力の多様性;SG抄録 …50種以上の抄録プリント形式,各種統計機能

★特許情報の電子化 ≠ ペーパレス化
 電子化は利用の多様化の手段,ペーパレスは多様な使い方のうちの一つ。

★閲覧チェックシステム …SDI配布情報を見たかどうか管理する
 特許に関心の少ない,または超多忙な研究開発者にも特許情報を見てもらう。
 評価結果を蓄積し,関係者に送付し,共有する。

★情報分析 …新技術の動向,コンペチタの動向
★アイデア発想支援システムとしての利用

★ボーダレスリンク …社内システムから社外システムへのリンク
★ハイパーリンク特許管理のすすめ

★Patent Web …迅速な動き,安価な固定契約
 抄録・代表図の一括出力;マンアワー重視型  ←→ 1件ずつ出力;大衆普及型

★サーバでやってくれないなら,ユーザのパソコンでやろう。
 PATOLIS …検索機能を使って,統計検索
 USP/Web出力 …3件/頁の出力,題名翻訳

●まとめ;簡単,迅速,安価,高再現率,低ノイズの,エンドユーザの知識のように特許情報を使う。


4.5年〜10年先の展望

・S62年(1987)に考えた将来像
・通信 …料金固定,超大容量通信
・数百GBのHDD →テラバイトパソコン
・概念検索/類似文書検索(関連度回答方式)で,検索業務はいっそう進展。
・特許情報のユーザは人間 …インターフェースを人間にマッチさせる。
・特許情報ナレッジマネージメントの重要性増大。

【MUG 技術士事務所】  【Patent City】
  六車正道