A社特許を引用したB社特許 H17.11.2

 特許の審査における引用/被引用のデータを使って、特許係争などで相手を攻める材料になる情報を得ることができます。

例えば、Cisco社がIntel社から侵害警告を受け、Cisco社はクロスライセンスの道を探していると仮定します。(これは例としてやっているもので、実際に両社でこのようなことが起きているものではありません。)
 そこで、Cisco社は対策を講じるため、自社特許の中でIntel社に影響を及ぼしている特許を探すことにしました。つまり、Cisco社の特許が先行しているIntel社の特許が見つかれば、Intelがその分野では後発であることが予想できます。もしそうであれば、その特許をクロスライセンスの交渉にカウンター特許として使える可能性があります。なお、特許の2001年発行までは契約があり対象外とし、2002年以降のIntel社の特許だけを探しました。

そこで、Cisco社の特許を審査で引用しているIntel社の特許を2002年登録以降で探すことにしました。なお、Cisco社の特許は古いものでもかまいません。また、カウンター特許の技術と侵害警告の技術とは全く別でもかまいません。したがって、調査するのはCisco社の全特許を対象にしました。

やり方・・・Cisco社の全特許番号を引用データ(Patents Cited)欄に入力し、出願人をIntelとし、発行年を2002年以降として検索すれば、「Cisco社特許を引用している2002年以降のIntel社特許をリストアップ」することができます。

具体的やり方;
下記は、米国登録特許を対象に、Cisco社の全特許を検索したものです。出願人は Cisco Technology まで限定しても良いですが、初期は別の社名だったようでもあり、Cisco だけでも間違う検索の可能性は少ないようなので今回はこのようにしました。


下記に1,708件あることが表示されました。この画面には50件の番号しか表示されていません。
ここで、〇check All をチェックして全特許にチェックし、「Create Report - List」を選択して[Go]をクリックします。


特許番号と題名などのリストがテキスト形式で、しかも1,708件の一括したリストとして表示されます。
そこで、このデータ全体をコピーします。


このリストから特許番号だけを抜き取ります。
 この例では、中央光学出版から発売されているPatentWeb専用の加工ソフト・SGshotを使って抜き取りました。(引用分析のデータ加工を使いました。詳細は⇒ http://ipbase.cool.ne.jp/sgshot/v1071.htm

下記のように、約200〜300件くらいずつ区切って、質問データとしてコピーします。



出願人をCisco、発行年月日を2002年1月1日以降とし、引用データ欄に上記でコピーしておいた特許番号を貼り付けます。
注意;[Patent Cited] 欄は、特許番号をスペースで区切って入力すると and になってしまいますので、ここでおこなったように or でつなぐ必要があります。([Patent/Publication Number]欄は特許番号をスペースで区切って入力すると or になります。間違わないようにしてください。)


2002年以降のIntel特許では57件に、Cisco特許が引用されているということが分かりました。


 ここでちょっと寄り道をして、これらの特許が本当にCisco特許を引用しているかどうか確認してみましょう。
 

 2件目の特許をクリックしてみたのが下表です。検索でヒットしている文字が青く表示されています。Patent Cited:の下に、US5883893が該当のもの、つまりCisco特許であるはずです。この番号が上記のCisco特許リストにあることを確認すれば間違いの無いことが分かります。
 

・Cicso特許であることを明瞭にするには、PatentWebやUSPTOなどで検索して表示させることで確認できます。
・SGshotが使える場合・・・この特許番号をコピーしてSGshotを立ち上げ、[2.特許番号からの抄録作成]をクリックするだけで、PatentWebからの抄録が表示されます。
  

   下記が表示された抄録です。
  

「Cisco社特許を引用しているIntel社特許をリストアップ」に話を戻します。

1,700件ある場合は、Patent Cited の検索を5,6回繰り返します。
終わったらそれらの合計をするために、検索画面の「Search History」をクリックしてヒストリ画面に移ります。ここで実施した検索の式番号を or で組合わせて全体の合計を出します。検索条件が入力できたら[Combine]をクリックします。


 次に run をクリックすることで実行されます。


合計件数は119件と表示されています。この件数をクリックすると番号、題名リストが表示されます。


下記は,119件のうち50件のリストが表示されている状況です。
全体のリストを入手するには、Check All で全件にチェックを付け、Create Report 機能を利用してください。


これから先は、Create report - Bibliographなどで抄録を出力させたり、明細書を見て詳細を検討します。

  もしSGshotを使えるのであれば、抄録ファイルを作成するのが
  一番いいでしょう。SGshot/抄録ファイルでは、抄録を次々と
  見て調査を進められると同時に、明細書を見たいときはクリッ
  クするだけで数秒後には明細書を見られます。この結果、非常
  に効率的の高い調査を進められます。

 このようにして、Cisco社の影響のありそうなIntel社の特許リストを入手することができました。この結果を利用してクロスライセンスのできそうな特許を探すことが可能になります。