導電性ポリマー  H12.10.23 

 白川博士のノーベル化学賞受賞で導電性ポリマーが注目を集めています。ところが、その一方でこんな立派な仕事に日本人が関わっていたとは知らなかったとの新聞報道もあります。一般にはそうかもしれません。

しかし、この分野は日本は基本から応用まで世界の最高水準をいっているのです。すでに山 を越している感じもありますが、さらなる発展を考えて研究している人達も大勢います。超伝導とか、新しい記憶材料などへの可能性もあるようです。

 公開特許件数を簡単に調べてみますと、最近は少し減少しています。下記は特許の「要約」に導電性ポリマーというキーワード(技術用語)が出てきた件数を特許庁の特許電子図書館・IPDLで検索したものです。

 H5  H6 H7  H8  H9 H10  H11
 41件  37  40   32   31  36   34

 10年くらい前はもっと多く出ていたようですが、H5年以前はIPDLでは検索できません。

 そこでUSP(米国特許)を検索でき、しかも簡単に統計処理できるMicro Patent社のPatent Webで、日本特許の英文抄録を対象に conductive polymer で検索すると以下の状況であることが分かります。 

●●●  1976年 0件   1989年 126件   1998年105件
      77   2   1990  158     99 118
      78   2    91  200
      79   4    92  149
     1980   6    93  136
      81   11    94  119
      82   5    95  123
      83   9    96   77
      84   14    97   78
      85   28
      86   51
      87   63
      88  104
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 収録の  日本人出願   主要分野は     全分野が
 範囲    のみ     全出願人      全出願人
−−−− −−−−−−  −−−−−−−   −−−−−−
  ※上記のように、3つの年代区分で少しずつ収録の条件が違います。 

 大雑把に見て、1988年ころから1995年ころが開発のピークだったことが分かります。もちろんこれは工業的な実用化のためのアイデアを発明として申請した数ですので、白川博士たちの努力はこれよりもずっと前だったのでしょう。推測ですが、1970〜1975年ころだったのではないでしょうか。

 ところで、H5(1993)年のIPDLの件数は41件に対し、Patent Webは136件と多いのは、IPDLの要約が発明者作成の文章であるのに対し、Patent Webの英文抄録はJAPIO(日本特許情報機構)で抄録を作り、英訳したものであることが原因です。 

 つまり、発明者の書いた要約文は肝心な用語を漏らすことが多いのに対し、第3者(JAPIO)が書きなおした抄録文はそれらが漏れなく収録されていると言えます。これは一般に言われている「抄録は本人作成より第3者作成の方が質が良い」ことと一致しています。

 なお、日本特許の英文抄録は、IPDLにも収録されています。しかし、収録がH5年以降であること、また"conductive polymer"というフレーズ(文脈)で検索できないことにより、使いませんでした。

 IPDLでは、文脈"conductive polymer"の代わりに、conductive AND polymer で検索することができます。しかしこれは、長い文章のどこかに conductive と polymer のある特許を探すので、ノイズ(不要なもの)を多く含みます。

例えばH5年をconductive AND polymerで検索してみると667件も出てきます。内容を見てみると、多くのものがノイズです。 

 この結果は、無料データベースと有料データベースの使い分けの一例とも言えます。なお、日本特許の英文抄録は、Micro Patent社/Patent Web以外に、同じく有料データベースであるDIALOGやQuestel/ORBITなどでも利用できます。