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■「リサーチツール特許データベース」を知っていますか?

 特許データベースを研究資料として利用するものがIPDLに出ています。
ライフサイエンス限定したものですが、「リサーチツール特許データベース」と
して、ある条件以上の特許を集めて研究資料として利用できるようにしてあります。
  http://www.ryutu.inpit.go.jp/RTPatents/

利用法は4つあります。
(1)動物、植物などの大きな分類を指定
(2)キーワードによる検索式で指定
(3)文章による検索・・・概念検索とは書いてありませんが同じものでしょう
(4)特許番号による検索

(1)の方法も面白いと思いますし、(3)のような利用も検索に不慣れな人や
簡単に済ませたい場合には有益だと思います。

表示される内容は、特許公報だけでなく、適用製品とか目的、効果、また
「有体物情報」などの項目ごとに分かり易く書かれています。さらに、特
許権者のEメールなども書いてあり、連絡を取り易く工夫してあります。

これは素晴らしい取り組みだと思います。

このシステムは、特許データベースを「知識データベース」として明瞭に
位置づけたものと言えます。つまり、
「特許データベースは研究開発の参考情報として有益ですよ」
と言っているものです。
特許データベースを「アイデア発想支援ツール」として使おうというもの
です。

ライフサイエンスしか使えないのでは・・・と落胆する必要はありません。

研究の参考資料としてのデータベースの条件を考えてみるとこの「リサー
チツール特許データベース」がすべて必須というわけではないと思います。
下記のような点が重要と思いますがどうでしょうか。
 
 1.検索が簡単に利用できる・・・概念検索の利用など
 
 2.表示が簡単迅速に行なえる・・・抄録の連続出力が最適
   「リサーチツール特許データベース」はやや使い難いように思う。
 
 3.費用を気にしないで利用できる・・・商法DBの一括契約や無料の
   公共システムが好都合。
   検索や抄録や明細書の表示の1回、1件ごとに料金がかかると、
   成果が分かり難いアイデア発想支援ツールとしては使い難い。
 
 4.知識データベース(アイデア発想支援ツール)として使うためのガイド
  がある・・・「リサーチツール特許データベース」は良くできてる。

上記の4は付いてないものの、1?3の条件を満たすものは普通の商用の特
許データベースでもいくつもあります。
その中で一番良いものは・・・・


■特許データベースは知識データベース?

 特許データベースは知識データベースだと思います。しかし、知識をコン
ピュータで扱うというと、下記のようにコンピュータ処理技術が話題になる
ことが多いものです。

・構造化型知識データベースを作成する、
・知識データベースから最適な要素を抽出し、加工処理して、別の要素を推論する、
・文書から知識データベースを構築するために検索キーワードを作成する、
・プラント設計情報から抽出した情報を運転支援知識データベースに変換、

 これは、知識を人間が利用するのでなく、コンピュータなどの機械が利用
するものであるために、このような処理が議論されるものと思います。

 しかし、知識を人間が利用する場合は、上のようなことはもっと簡単に
なるはずです。人間はコンピュータに比べて融通がききますので、利用す
る情報は以下のような特徴があるといえます。

・表現が標準化されておらず文法的に間違いもある、
・論理的とは限らない、
・矛盾することも書かれることがある、

・特定分野ではなく全技術が対象、
・コンピュータ科学が対象とする知識より、複雑、難解な知識が多い、
・言葉では表現できなく図面で表現される知識もある、
・関係する知識を探しだすことが難しい、

・内容が分かり難く少々の間違いがあっても利用される、
・利用者は気まぐれであり飽きさせない工夫が必要、
・利用のソフトウエアは不要・・・人間のアタマが利用/処理します

 したがって、特許情報も、(機械でなく)人間が利用するならば知識
データベースとして十分期待できそうです。

 公開公報は審査されたものではなく間違いもありますので、注意が必
要です。(永久機関は最近も毎年数件ずつ出願されています)
また、鍼灸とか経絡など科学的には必ずしも明瞭でないものも、かなり
出願されています。
それにしても、最近の経済や景気に関する情報/知識は訳がわかりません。


■FI記号では「知識」は?

 FI記号では「知識」はどうなっているのでしょうか?
下記のようにいかにもコンピュータ科学と思わせるものが多くあります。

  ※下記は、WebFIにより直系上位のFI記号だけを書いてありますので、
   意味が分かり易くなっています。

G06F 電気的デジタルデータ処理
G06F 17/00 特定の機能に特に適合したデジタル計算またはデータ処理の装置
G06F 17/30 ・情報検索;そのためのデータベース構造
G06F 17/30,180 ・・検索方法に特徴があるもの
G06F 17/30,180A 知識データベース

 下のように「知識の洗練」という分類があります。何やら人間っぽい
表現ですが・・・・、どんな特許があるのか検索してみると面白かも

G06N  特定の計算モデルに基づくコンピュータ・システム
G06N 5/00 知識ベースモデルを利用したコンピュータ・システム
G06N 5/04 ・推論方法[7]
G06N 5/04,550 ・・推論システム
G06N 5/04,580 ・・・推論システムの作成支援
G06N 5/04,580P 知識の洗練

 ★ご存知かもしれませんが・・・
  上の「G06N 5/04,580P」にはドットは1つも付いていません。
  しかし、意味的には「G06N 5/04,580」の下位になります。
  つまりG06N 5/04,580Pはドットが4個と同じことになります。

それにしても、最近の経済や景気に関する知識はもう少し洗練されないと・・・

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発行元 六車技術士事務所
http://www.patentcity.jp/muguruma/index.htm
http://www.patentcity.jp/patentcity/index.html
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